ドラフトの通信簿

NPBドラフトにおける、各球団の指名結果を採点します。

2017年ドラフト<野手ファーム成績編>更新版

12球団中、6球団を見てきたところですが、ここで、野手ファーム成績をまとめておこうかと思います。
以前、2017年ドラフト組の19年シーズンのファーム成績について、このような記事を書きました。

koryusai.hatenablog.com

 

この記事では、2017年ドラフト組の20年シーズンのファーム成績についてチェックしていきます。

ファームで2020年シーズンに規定打席以上与えられた選手を中心に、名前・球団・打席数・OPS・BB/Kの順に記載しており、BB/Kの値でソートしています。
BB/K、つまり1回三振するまでに何個の四球を取るかを示す数値で選球眼の指標ですが、この数値が高いほど1軍で通用する可能性が高いと言われています。(OPSが高くてもBB/Kが低くミスの多い選手は、「二軍の帝王」化する可能性が高いです。)

 

<高卒選手>
中村 広島 1位 189 .672 .719
西浦 オリ 6位 168 .759 .690
高木 西武 育1 234 .767 .633
湯浅 読売 8位 266 .658 .558
西巻 ロッ 6位 149 .619 .528
難波 ハム 4位 186 .502 .462
西川 西武 2位 164 .731 .353
砂川 SB 育3 273 .709 .236
伊藤 中日 5位 264 .542 .229
高松 中日 3位 180 .418 .000

 

カープの中村奨成の選球眼が向上してきました。OPSの方はまだ物足りないですが、高卒4年目にもなる来季はそろそろ一軍でも経験を積みたいところ。
バファローズの西浦はすばらしい成績だったのですが、特発性大腿骨頭壊死症という難病を発症してしまう不運に見舞われてしまいました。本当に残念です。
ライオンズの選手が2名入っていますが、2位の西川よりも育成1位の高木の方が好成績です。高木は本塁打を9本も打っています。
本塁打の魅力でいうと、ホークスの砂川リチャードが12本塁打で一番です。が、とにかく粗い。これだけ粗いとモノにならない可能性の方が高いとは思いますが、モノになることがあれば大きいです。

 

<社会人野球・独立リーグ経由選手>
山本 De 9位 226 .753 .450
宮本 De 7位 226 .678 .219

 

2人とも高卒で、まだ若い選手です。

 

<大卒選手>
楠本 De 8位 121 1.118 .542
岩見 楽天 2位 180 .873 .290

 

大卒3年目ともなると、見込みのありそうな選手は一軍での起用が進んでおり、ここで名前が挙がるのは不名誉かもしれません。楠本が6本塁打、岩見が7本塁打を打っており、OPSも充分高いのですが、一軍で起用されないのは粗さがあるからでしょう。

2017年ドラフト<阪神タイガース編>更新版

以前、タイガースの2017年ドラフトについて、このような記事を書きました。

 

koryusai.hatenablog.com

 

上記記事は18-19年シーズン2年分のみに基づいた評価でしたので、20年シーズンの結果を反映させ、3年分の成績で再評価を試みたいと思います。どのような選手が伸びてきたのでしょうか。
選手名の横の数値は、20年シーズン終了までの通算成績、横の数値は20年シーズンで積み上げた数値です。

 

外れ 清宮幸太郎
外れ 安田尚憲
1位 馬場皐輔  47   +28
2位 髙橋遥人 220.1 +76
3位 熊谷敬宥   8    +5
4位 島田海吏  11    +3
5位 谷川昌希  34.1 +14.1 
6位 牧丈一郎   0
育1 石井将希   1    +1

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで311.2Pになります。ドラフトでは清宮を指名していましたが、もし清宮がタイガースに入団していたら・・・どれだけ球団の育成が批判されたのだろうかと考えてしまいます。


2位の髙橋は、大卒2年目の昨季に18先発して3勝9敗の防御率3.78、3年目の今季は12先発して5勝4敗の防御率2.49の成績を残しています。高い奪三振能力をもつ左腕で、好調時にはエース級の働きをしますが、一年間通して頑張るスタミナはまだないというのが現状。スタミナをアップさせ、適所で脱力できる投球術が身に着けば、もうワンランク上の投手になれるのですが。


1位の馬場は、大卒3年目の今季、32登板で2勝1敗9Hの防御率2.08と、初めて戦力になったシーズンでした。多彩な変化球を投げ分けることができる投手ですが、中継ぎ起用ということでスプリットの投球比率を高めたのが飛躍の要因かと思います。もっとも、結構危なっかしいシーンもありましたので、運に恵まれた結果といえます。この結果を自信に結び付けて来季の活躍に期待したいです。

2017年ドラフト<北海道日本ハムファイターズ編>更新版

以前、ファイターズの2017年ドラフトについて、このような記事を書きました。

 

上記記事は18-19年シーズン2年分のみに基づいた評価でしたので、20年シーズンの結果を反映させ、3年分の成績で再評価を試みたいと思います。どのような選手が伸びてきたのでしょうか。
選手名の横の数値は、20年シーズン終了までの通算成績、横の数値は20年シーズンで積み上げた数値です。

 

1位 清宮幸太郎 126   +43
2位 西村天裕   93.1 +25.2
3位 田中瑛斗    2    +0
4位 難波侑平    0
5位 北浦竜次   21.2  +3.1
6位 鈴木遼太郎   2    +0
7位 宮台康平    4.2  +0

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで249.2Pになります。


ファイターズファンならずとも気になるのは、清宮の成長でしょう。OPSでみると、これまでの3年間で.665→.610→.623と、成長していません。本塁打数でみると、7→7→7と、こちらも変化ありません。数値の高低の問題ではなく、数値が上昇していないというところが問題です。結局、彼は究極の早熟型であって、中3の時点で既に完成形だったのではないかというのが私の考えです。どこか成長しているところはないかなと無理やり探してみると、BB/Kが.266→.280→.559と成長していました。選球眼は向上しているようですが、年齢を考えるともっとがむしゃらなプレーを期待したいですね。

2017年ドラフト<中日ドラゴンズ編>更新版

以前、ドラゴンズの2017年ドラフトについて、このような記事を書きました。

 

koryusai.hatenablog.com

 

上記記事は18-19年シーズン2年分のみに基づいた評価でしたので、20年シーズンの結果を反映させ、3年分の成績で再評価を試みたいと思います。どのような選手が伸びてきたのでしょうか。
選手名の横の数値は、20年シーズン終了までの通算成績、横の数値は20年シーズンで積み上げた数値です。

 

外れ 中村奨成
1位 鈴木博志 81.2  +7.2
2位 石川翔   1    +0
3位 高松渡   0
4位 清水達也 58.2 +21.1
5位 伊藤康祐  6    +0
6位 山本拓実 76.1 +29 
育1 大藏彰人  0
育2 マルク   3    +3

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで226.2Pになります。


1位の鈴木は、今季は6登板で防御率12.91まで落ち込んでしまいました。このままだと消えた存在になってしまいます。


6位の山本は、小柄(身長167cm)な高卒右腕。昨季は7先発で防御率2.98でしたが、今季は5先発で5.59まで悪化してしまいました。

2017年ドラフト<東北楽天ゴールデンイーグルス編>更新版

以前、イーグルスの2017年ドラフトについて、このような記事を書きました。

 

koryusai.hatenablog.com

 

上記記事は18-19年シーズン2年分のみに基づいた評価でしたので、20年シーズンの結果を反映させ、3年分の成績で再評価を試みたいと思います。どのような選手が伸びてきたのでしょうか。
選手名の横の数値は、20年シーズン終了までの通算成績、横の数値は20年シーズンで積み上げた数値です。

 

外れ 清宮幸太郎
外れ 村上宗隆
1位 近藤弘樹 45  +6.2
2位 岩見雅紀  8  +8
3位 山崎剛  30  +2
4位 渡邊佑樹  1  +0
5位 田中燿飛  0
6位 西巻賢二 23  +4
7位 寺岡寛治 23 +20
育1 井手亮太郎 0
育2 松本京志郎 0
育3 中村和希  0

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで130Pになります。


1位の近藤は、大卒3年目の今オフに戦力外になり、スワローズに育成枠で拾われました。3年目が終わるとこういうケースも出てきますが、ドラ1でこれは厳しい。この時点で既にこの年のイーグルスのドラフトの残念感が滲み出ています…


2位の岩見は、やっとプロ初安打を記録しましたが、ファームでもまだまだ粗い(BB/Kが.290)んですよね~


3位の山崎は、鈴木大地や小深田の加入で出番を失った感じですね。持ってるものはいいと思うのですが。


7位の寺岡は、大卒後に社会人野球とBCリーグを経て入団した苦労人。今季は24登板で2勝1敗10H、防御率3.15と、なかなかの安定感をみせました。登板数がもっと増えた時にこの安定感を保てるなら一流でしょう。

2017年ドラフト<埼玉西武ライオンズ編>更新版

以前、ライオンズの2017年ドラフトについて、このような記事を書きました。

 

koryusai.hatenablog.com

 

上記記事は18-19年シーズン2年分のみに基づいた評価でしたので、20年シーズンの結果を反映させ、3年分の成績で再評価を試みたいと思います。どのような選手が伸びてきたのでしょうか。
選手名の横の数値は、20年シーズン終了までの通算成績、横の数値は20年シーズンで積み上げた数値です。

 

外れ 田嶋大樹
1位 齊藤大将 37.1 +10
2位 西川愛也  1    +1
3位 伊藤翔  61   +28.2
4位 平良海馬 77   +53
5位 與座海人 38   +38 
6位 綱島龍生  0
育1 高木渉   7    +7
育2 齊藤誠人  0

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで221.1Pになります。


4位の平良は高卒2年目の昨季に26登板で2勝1敗1S6Hで、防御率3.38を記録。3年目の今季は54登板で1勝1S33Hで、防御率1.87を記録し、新人王のタイトルを獲得しました。直球の球速が最速160キロを記録したことも話題になりましたね。(開幕前に書いた上記記事では全くのノーマークでした。お恥ずかしい限りです…)

本人は先発転向を希望との報道がありました。ホークスの千賀やバファローズの山本も、まずは中継ぎで突出した成績を残してから、先発転向して大投手になっていきました。平良もこの路線に乗れるのか?それともチーム事情で中継ぎに固定なのか。来季の起用法が気になります。


5位の與座(よざ)はアンダースローの変則右腕。大卒1年目の10月にトミージョン手術を受け育成契約になりますが、2年目のオフには支配下に復帰。3年目の今季は今季は、8先発で2勝4敗で防御率5.45を記録しました。ライオンズでアンダースローというと牧田を思い出しますが、その牧田のように中継ぎの方が生きるような気もします。


高卒3年目の2人の外野手、2位西川と育1高木は、どうしても比較してしまいます。ファームでの成績は、西川が164打数でOPS.731、BB/K.353で本塁打3本に対して、高木は234打数でOPS.767、BB/K.633で本塁打9本です。現時点では西川よりも高木が上という下克上状態ですが、1軍に定着できるのはどちらでしょうか。

2017年ドラフト<広島東洋カープ編>更新版

以前、カープの2017年ドラフトについて、このような記事を書きました。

 

koryusai.hatenablog.com

 

上記記事は18-19年シーズン2年分のみに基づいた評価でしたので、20年シーズンの結果を反映させ、3年分の成績で再評価を試みたいと思います。どのような選手が伸びてきたのでしょうか。
選手名の横の数値は、20年シーズン終了までの通算成績、横の数値は20年シーズンで積み上げた数値です。

 

1位 中村奨成  0
2位 山口翔   26  +0
3位 ケムナ誠  52 +51
4位 永井敦士   0
5位 遠藤淳志 149.2 +107
6位 平岡敬人   0
育1 岡林飛翔   0
育2 藤井黎來   3  +3 
育3 佐々木健   0

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで230.2Pになります。


5位の遠藤は高卒3年目の今季は1年間先発ローテを守り、19先発で5勝6敗、防御率3.87の成績でした。順調に成長を続けており、今後が楽しみな逸材です。


3位のケムナも成長を遂げた一人。昨季の登板は1イニングでしたが、大卒3年目の今季は41登板で1勝1敗11Hで防御率3.88と、ブルペンで存在感をみせました。


さて、多くの野球ファンが気にしているのは、1位の中村ではないでしょうか。昨季はファームでOPS.725も、BB/Kが.333と、粗さのある成績でした。今季はファームでOPS.672でしたが、BB/Kは.719と、選球眼が改善されています。そろそろ1軍でもみたいところですが、今季は4試合出場するも無安打に終わっています。捕手として坂倉の壁を超えるのは難しいように思いますので、スタメン出場を目指すならコンバートも検討してはどうかと思うのですが…。ドラ1が2番手捕手というのは勿体ない気がします。