ドラフトの通信簿

NPBドラフトにおける、各球団の指名結果を採点します。

2019年ドラフト<千葉ロッテマリーンズ編>更新版

以前、マリーンズの2019年ドラフトについて、このような記事を書きました。

 

koryusai.hatenablog.com

 

上記記事は20年シーズン1年分のみに基づいた評価でしたので、21年シーズンの結果を反映させ、2年分の成績で再評価を試みたいと思います。どのような選手が伸びてきたのでしょうか。
選手名の横の数値は、21年シーズン終了までの通算成績、横の数値は21年シーズン単年で積み上げた数値です。

 

1位 佐々木朗希 63.1 +63.1
2位 佐藤都志也 53    +27
3位 髙部瑛斗   9       +8
4位 横山陸人   9.2    +9.2
5位 福田光輝   2       +0
育1 本前郁也  37.2 +37.2
育2 植田将太   0

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで174.2Pになります。


昨年度は一軍でもファームでも登板のなかった佐々木が、今年はいよいよ一軍で登板して11先発で3勝2敗。シーズン後半にはしり上がりに調子を上げ、CS1stステージの初戦では6回1失点の好投で勝利に貢献しました。まだまだ伸びしろを感じますので、今後はチームを牽引する存在に、そしてNPBのエースになっていってほしいですね。


2位の佐藤は一軍ではops.670、ファームではops.890でBB/K1.00という成績を残しました。ファーム成績から見て打力はホンモノだと思うのですが、捕手のポジションでは、田村49試合・加藤46試合・柿沼23試合に次ぐ4番手の22試合のスタメンに留まりました。加藤があれだけ打てないにも関わらず佐藤よりも重用されているのは、加藤が井口監督の後輩(青山学院大野球部)ということを差し引いても説明がつきません。佐藤のコンバートをチームは検討しているのかもしれませんね。


面白い存在が3位の髙部。大卒の外野手ですが、ファームではops.850、BB/K.648という好成績を残しています。外野は、荻野とマーティンがレギュラー格で、藤原が一番の期待株という状況。髙部は角中、岡、和田などとの争いになりますが、チームの世代交代を考えると髙部には期待できると思います。

2019年ドラフト<広島東洋カープ編>更新版

以前、カープの2019年ドラフトについて、このような記事を書きました。

 

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上記記事は20年シーズン1年分のみに基づいた評価でしたので、21年シーズンの結果を反映させ、2年分の成績で再評価を試みたいと思います。どのような選手が伸びてきたのでしょうか。
選手名の横の数値は、21年シーズン終了までの通算成績、横の数値は21年シーズン単年で積み上げた数値です。

 

1位 森下暢仁 286 +163.1
2位 宇草孔基  54    +43
3位 鈴木寛人    0
4位 韮澤雄也    0
5位 石原貴規  27    +27
6位 玉村昇悟 101 +101
育1 持丸泰輝 
育2 木下元秀 
育3 畝章真  

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで468Pになります。


1位の森下は、五輪の決勝戦での先発という大役をこなしながらも、チーム1の投球回数を消化しました。防御率2.98で8勝7敗と昨季よりも成績を落としましたが、エースの貫禄が漂い始めています。


2位の宇草は大卒の外野手。今季は出場を増やし、ops.764を記録しました。カープの外野は鈴木誠也が抜けますので、来季はさらに出番を増やしそうですね。


5位の石原は大卒の捕手。カープは最も捕手の充実したチームですが、坂倉の53試合・會澤の47試合に次ぐ32試合でスタメンで起用されました。3番手捕手がこれだけ起用されることはなかなかありませんから、競争の熾烈さがわかると思います。(いよいよ中村奨成の外野コンバートも本格的に検討すべきでしょうね。)


6位の玉村は高卒の左腕投手。高卒2年目で100イニング以上消化したカープの投手は前田健太以来だそうです。17先発で防御率3.83、4勝7敗でしたが、11QSを達成しているのはすばらしいですね。

2019年ドラフト<北海道日本ハムファイターズ編>更新版

以前、ファイターズの2019年ドラフトについて、このような記事を書きました。

 

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上記記事は20年シーズン1年分のみに基づいた評価でしたので、21年シーズンの結果を反映させ、2年分の成績で再評価を試みたいと思います。どのような選手が伸びてきたのでしょうか。
選手名の横の数値は、21年シーズン終了までの通算成績、横の数値は21年シーズン単年で積み上げた数値です。

 

外れ 佐々木朗希
1位 河野竜生 150.2 +90.1
2位 立野和明   55    +55
3位 上野響平  0
4位 鈴木健矢   30.2 +19.1
5位 望月大希  6      +4
6位 梅林優貴  0
7位 片岡奨人  0
育1 宮田輝星  0
育2 樋口龍之介 18  +11
育3 長谷川凌汰   3.2  +3.2

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで264Pになります。育成枠の3人はすべて支配下になっています。


1位の河野は開幕ローテ入りするのですが、2試合で5失点と結果を出すことができませんでした。そこから中継ぎに配置転換されると、31.1回を1失点で防御率0.29、18試合連続無失点を記録するなど、無双モードに突入します。五輪中断期間を経て再度先発に挑戦するのですが、再挑戦後の成績は51.1回を24失点で防御率4.21というものでした。トータルでは防御率2.99と2点台でまとめましたが、中継ぎでの無双モードと比べると先発での平凡さが際立ってしまいます。来季も先発で期待されていると思うのですが、チーム事情次第で中継ぎエースとしてキャリアを積むのもよいのではないかと思いますね。


2位の立野は即戦力を期待されていましたが、一年目の昨季は登板なしに終わってしまいます。二年目の今季は6月にプロ初先発を経験すると、11登板(10先発)で防御率2.45の快投を披露しました。来季も先発として計算できる存在です。

2019年ドラフト<中日ドラゴンズ編>更新版

以前、ドラゴンズの2019年ドラフトについて、このような記事を書きました。

 

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上記記事は20年シーズン1年分のみに基づいた評価でしたので、21年シーズンの結果を反映させ、2年分の成績で再評価を試みたいと思います。どのような選手が伸びてきたのでしょうか。
選手名の横の数値は、21年シーズン終了までの通算成績、横の数値は21年シーズン単年で積み上げた数値です。

 

1位 石川昂弥    8       0
2位 橋本侑樹  43.2 +26.2
3位 岡野祐一郎 50.1     +8
4位 郡司裕也  16        +6
5位 岡林勇希  17      +15
6位 竹内龍臣    0          0
育1 松田亘哲    0          0

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで135Pになります。


1位の石川ですが、6月下旬にファームで受けた死球で左尺骨を骨折。実戦復帰はフェニックスリーグまでかかりました。離脱までのファーム成績は、ops.719でBB/K.294ということで、1軍で起用するにはもう一伸びがほしいところ。


ファンからの期待が高いのが5位の岡林ですが、ファーム成績は、ops.674でBB/K.636。石川よりも確実性は高いので、あとはパワーがもう少し出てくれば一軍でいけそうです。外野が本職ですが、二塁での起用も検討中とのこと。


4位の郡司は少ない出番ながら、一軍でops1.072を記録しました。捕手では木下が素晴らしいパフォーマンスを見せているのでなかなか出番がありませんが、もう少し郡司の出番を増やしてもよいように思います。フェニックスリーグでは三塁や左翼での守備に挑戦したようです。

2019年ドラフト<オリックスバファローズ編>更新版

以前、バファローズの2019年ドラフトについて、このような記事を書きました。

 

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上記記事は20年シーズン1年分のみに基づいた評価でしたので、21年シーズンの結果を反映させ、2年分の成績で再評価を試みたいと思います。どのような選手が伸びてきたのでしょうか。
選手名の横の数値は、21年シーズン終了までの通算成績、横の数値は21年シーズン単年で積み上げた数値です。

 

外れ 石川昂弥
外れ 河野竜生
1位 宮城大弥  163 +147
2位 紅林弘太郎 106 +102
3位 村西良太    20     +12
4位 前佑囲斗   0
5位 勝俣翔貴   0
育1 佐藤一磨   0
育2 谷岡楓太   0
育3 中田惟斗   0
育4 平野大和   0
育5 鶴見凌也   0
育6 大下誠一郎   23    +4
育7 佐藤優悟   0
育8 松山真之   0

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで265Pになります。すごい人が2人います。


1位の宮城は防御率2.51で13勝4敗の大活躍、新人王を受賞しました。日本シリーズでは2戦目に先発し、既にチームの左腕エースの貫禄が漂います。制球力の高さ、同じ腕の振りで球種を投げ分ける能力など、高卒2年目でありながら既に高い完成度を感じます。


2位の紅林は開幕戦からスタメン起用されると、そのままショートのレギュラーに定着しました。102安打の一方で三振も101記録するなど、プレーには粗さがまだまだありますが、良い意味での「鈍感力」が感じられる人柄はプロ向き。(私は、紅林よりも1つ上のドラ1の太田の方が早くモノになるだろうと予想していましたが、このメンタルで差がついた気がします。)高卒・大型遊撃手・2年目から活躍ということで、坂本勇人のような選手になれる可能性を感じます。

2019年ドラフト<東京ヤクルトスワローズ編>更新版

以前、スワローズの2019年ドラフトについて、このような記事を書きました。

 

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上記記事は20年シーズン1年分のみに基づいた評価でしたので、21年シーズンの結果を反映させ、2年分の成績で再評価を試みたいと思います。どのような選手が伸びてきたのでしょうか。
選手名の横の数値は、21年シーズン終了までの通算成績、横の数値は21年シーズン単年で積み上げた数値です。

 

1位 奥川恭伸 107 +105
2位 吉田大喜   90.2   +23.1
3位 杉山晃基     6.1  +6.1
4位 大西広樹   47.1   +38.1 
5位 長岡秀樹     1     +0 
6位 武岡龍世     4     +1

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで256.1Pになります。


1位の奥川は、2ケタにはわずかに手が届きませんでしたが、防御率3.26で9勝4敗を記録。新人王は逃しましたが新人特別賞を受賞しています。中10日で起用されたとはいえ、K/BBは驚異の9.10を記録、54.1イニングの連続無四球記録もつくりました。日本シリーズでは初戦の先発を任され、次世代エースへの道を着実に歩んでいます。


2位の吉田が失速気味なのに対して、伸びてきたのが4位の大西。大卒2年目の今年は33登板で防御率2.82、3勝0敗7ホールドを記録。ブルペンでの存在感を見せ始めています。


5位長岡と6位武岡は共に高卒の内野手。ファームではこの2人に1、2の打席数が与えられており、チームの期待を感じます。ファーム成績は、長岡がops.700でBB/K.333、武岡がops.692でBB/K.571と一軍レベルにはまだ足りませんが、一軍のショートはレギュラーが定まっていませんので、来年は出番があるかもしれませんね。

2020年ドラフト<集計編>

さて、チーム毎に振り返ってきた2020年ドラフトですが、獲得ポイント順に並べると次の通りとなります。(ポイントの横は、獲得した主要選手です。カッコ内はまだ1軍で目だった結果は出していないものの、期待値の高い選手です。)

 

阪神 391   佐藤輝・伊藤将・中野(榮田・村上)
De 178   牧
ハム 171   伊藤大(五十幡・今川)
広島 157.1 栗林・森浦・大道
楽天 155   早川
ロッ 121   鈴木・河村(中森)
西武 100.2 (渡部・若林・ブランドン)
ヤク  55.1 元山(内山)
オリ  17.2 (山下・元・来田・中川颯)
中日  16   (髙橋・森)
読売   8   (平内・山崎伊)
SB   0   (井上)

 

この年は新型コロナウイルスの感染拡大で、春夏の高校野球を始めとした多くの大会が開催されなかったため、スカウティングのデータが乏しいという特殊事情の元、ドラフトが行われることとなりました。
即戦力投手が多いという前評判通りに上位指名を行うチームが多かったのですが、地元志向のドラゴンズ、高校生偏重のバファローズとホークスといった、興味深い傾向も見えました。
ドラフトから1年が経ちましたが、これほどまで即戦力が豊富だった年は記憶にないというくらいに即戦力が充実したドラフトだったといえます。


そんな中でも、即戦力を3人確保することに成功したタイガースは大成功といえそうです。主軸打者になりうる佐藤輝だけでなく、計算できる先発の伊藤将に、ショートのレギュラーにして盗塁王の中野と、ルーキーがチームの首位争いの原動力になりました。また、期待株でも捕手の榮田と、ファーム三冠の村上が控えているのも魅力です。


これに続いたのが、既に主軸打者の貫禄ある牧を獲得したベイスターズ、エース級投手の伊藤大・栗林・早川を獲得したファイターズ・カープイーグルスです。ここまでで挙がった名前だけ見ても、例年のドラフトとは異なる充実度が漂います。また、現時点でのポイントという点では一歩劣りますが、マリーンズの投手・ライオンズの野手は来年からの活躍が計算できそうです。


スワローズは1位2位の即戦力のアテが外れてしまいまいしたが、将来の正捕手候補の内山と、ショートのレギュラー候補の元山をしっかりと獲得できたのは好印象。下4チームは即戦力の獲得はしていませんが、期待株は何人かいます。中でも近年、高卒でポテンシャルが高い選手を続々獲得して成功しているバファローズが、この年も多く期待株を獲得しているのは、さすがですね。