ドラフトの通信簿

NPBドラフトにおける、各球団の指名結果を採点します。

ドラフト2位指名<読売ジャイアンツ編>

2020年度のドラフト会議が終わりましたね。みなさんの贔屓のチームの指名結果はいかがでしたでしょうか。

ドラフトが終わると、採点や寸評がちまたにあふれますが、少なくとも3年は経たないと評価ができないというのが、私の考えです。複数球団の指名が競合したドラ1が鳴かず飛ばずだったり、投手力不足を解消するために投手を大量指名しても全員が微妙だったりというのは、よくある話です。

指名結果については一喜一憂せず、とりあえず、クジの当たったチームは良かったというのが今のところの評価でしょう。というわけで、タイガースとイーグルスのファンのみなさん、おめでとうございます。

 

では、引き続いて2位指名を見ていきましょう。まずは、読売ジャイアンツです。

  

2008 宮本   0
2009 鬼屋敷  0
2010 宮国 406
2011 今村 295.2
2012 大累   0
2013 和田  28  
2014 戸根 107.1
2015 重信 115
2016 畠   97.2
2017 岸田   0
2018 増田   0
2019 太田

 

1P=1安打=1回とすると、ドラフト2位指名選手が獲得したポイントは、トータルで1049.2Pになります。
1位と比べると、一気にスケールが小さくなりますね。2位でも0ポイントな選手が割といることに驚きます。2位といえば、ドラフト前には1位指名濃厚と言われていた選手がちらほらいる順位ですが、1位と2位って結構違うのだなと思います。
そんな中でも宮国は結構なポイントを稼ぎました。結構出番は与えられているのですが、何か突き抜ける感じはなく、そこそこ歳を食ってしまいましたね。今村と畠は先発ローテにいなくてはならない選手だと思いますが、2ケタ勝つイメージはいまのところありません。重信も競争相手がたくさん出てきて出番が減ってきました。

ドラフト1位指名<集計編>

さて、チーム毎に振り返ってきたドラフト1位指名ですが、獲得ポイント順に並べると次の通りとなります。

 

読売 4890.2 
西武 4258.2
広島 3851.2 
ロッ 3377
ハム 3359
オリ 3278
中日 3051.2
De 3050
ヤク 2857
阪神 2783.1
SB 2694.2
楽天 2426.2

 

こちらが、獲得した主要選手です。投手を黒、野手を青で記載しています。

読売 大田長野・澤村・菅野・小林岡本吉川
西武 菊池・十亀・増田・・髙橋光・多和田
広島 今村・福井・野村・大瀬良・森下
ロッ 荻野・藤岡・松永・石川・中村
ハム 大野・大渡邊・有原
オリ 安達吉田・山岡
中日 大野・高橋・福谷・小笠原・柳
De 筒香・山崎・今永・濱口
ヤク 山田・石山・村上
阪神 榎田・藤浪・岩貞・大山近本
SB 今宮・武田・東浜
楽天 塩見・松井

 

こうやって並べてみると、同じドラフト1位といっても、うまく獲得できたチームと失敗したチームで大きな差がつきました。ジャイアンツ・ライオンズ・カープが上の方に位置しているのは納得ですが、ホークスが下に位置しているのは意外です(強豪チームなのに・・・)。


トップのジャイアンツですが、澤村・長野・菅野の3人に関しては入団経緯がグレーなので、手放しでほめることはできません。とはいえ、大田こそ失敗しましたが、岡本や吉川はしっかりと主力に育てあげています。ジャイアンツはドラフト1位の野手に関しては、ちゃんと素材を見極めて、じっくりと育成できるチームだと思いますね。


ライオンズとカープが上位にくるのは納得です。この2チームは近年好成績を残していますが、ドラフト1位で獲得した主要選手は、ライオンズの森以外は全員が投手です。この2チームのリーグ制覇の原動力となった顔ぶれを思い出すと、野手が多いのではないかと思いますが、これはドラフト2位以下の指名で獲得しているんですね。ドラフト1位では投手、2位以下で野手というのは、ドラフトの成功法則なのかもしれません。


クジ引きに強いマリーンズ、高校生スターの獲得で目立つファイターズですが、ライオンズやカープの後塵を拝しました。そして、クジ引きが弱いバファローズですが、意外と健闘しています。クジ引きが弱くても、いい選手を一本釣りできる年は必ずあるのです。


ドラゴンズ・ベイスターズ・スワローズ・タイガースのセリーグ4チームは大差なし。内訳でみると、投手の獲得がうまくいかなかったスワローズは苦しい感じですか。


ホークスはドラフト1位に関しては立ち回りがヘタクソといえるでしょうね。特に、ここ数年はうまくいっていません。イーグルスは2018年から方針変更して即戦力重視になりましたが、この方針変更がうまくいくでしょうか。

ドラフト1位指名<東北楽天ゴールデンイーグルス編>

今回見ていくのは、東北楽天ゴールデンイーグルスの1位指名です。今年度のドラフト会議までに、1位指名まで記事を書きたいと思っていたのですが、間に合ってよかったです。

2008 藤原  101.2
2009 戸村  378.1
2010 塩見  783
2011 武藤  105.1
2012 森    90.1
2013 松井  439.2
2014 安楽  181.2
2015 オコエ 103
2016 藤平  133.1
2017 近藤   38.1
2018 辰巳   72
2019 小深田

 

1P=1安打=1回とすると、ドラフト1位指名選手が獲得したポイントは、トータルで2426.2Pになります。
野手3人に対して投手9人と、やや投手多めの比率。イーグルス創設後、初のドラフトになった2004年には一場(自由枠)、2005年には片山(高校)松崎(大社)、2006年には田中将大(高校)と永井(大社)、2007年には寺田(高校)長谷部(大社)、そして2008年からは上記の表のとおりなのですが、チーム創設以来2014年の安楽まですべてのドラフト1位が投手です。オコエがチーム初の野手ドラ1だったのですね。


一番ポイントを稼いだのは塩見。2ケタ勝った年はないし一軍登板が無かった年もあるのですが、それでもチームのローテを長く支えています。


松井祐樹は高卒1年目からローテに入り17先発するのですが、高い奪三振率を誇る反面、球数が増えて長いイニングを消化できないことから、2年目に中継ぎに回るとクローザーに定着します。先発投手としての可能性を完全に消してしまうのはもったいないなと私は思っていたところ、今季は先発としてスタートします。ところがこれがイマイチ、結局はリリーフに戻っています(やっぱり松井はリリーフなのかなぁ)。


その他は、ドラ1の期待に応えられたといえる選手はいないなというのが私の感想です、厳しいでしょうか。特に、森・安楽・オコエあたりの高卒選手は、育てるの難しそうだな~と思っていたのですが、案の定です。藤平、近藤あたりはまだわかりませんが、厳しそうな感じがします。


さて、2018年からは方針が変わったのか、即戦力野手を求める傾向が強くなってきました。辰巳は1年目から高い守備力をみせました。ゴールデングラブ賞の受賞まではなりませんでしたが、いずれ受賞に値する力量を持っていると思います。小深田の指名はやや驚きをもって受け止められましたが、今季はレギュラーに定着しています。

ドラフト1位指名<オリックスバファローズ編>

今回見ていくのは、オリックスバファローズの1位指名です。

2008 甲斐    0
2009 古川   62.1
2010 駿太  352
2011 安達  673
2012 松葉  594.1
2013 吉田一 306
2014 山崎  235.2
2015 吉田正 471
2016 山岡  465.1
2017 田嶋  118.1
2018 太田    0
2019 宮城

 

1P=1安打=1回とすると、ドラフト1位指名選手が獲得したポイントは、トータルで3278Pになります。
野手4人に対して投手8人と、標準的な比率です。バファローズのドラフトというと、とにかくクジ運が悪いというイメージがあります。この中ですと、クジを当てたのは二球団競合だった田嶋のみです。駿太はドラフト史上初の「外れ外れ外れ1位」として話題になりました(×大石 ×伊志嶺 ×山田哲人 大石と伊志嶺は惜しくないですが、山田哲人は惜しかったですね…最初から単独で行っておけば一本釣りできたのに…)。ところが、クジを当てまくっているマリーンズとポイント的には大差ないのがおもしろいところです。


甲斐と古川は鳴かず飛ばずでした。駿太は辛抱強く起用され、かなりのチャンスを与えられたと思いますが、覚醒の気配はみせないまま10年目のシーズンを迎えています。打撃はともかく守備はうまかったのですが、その守備もとうとう衰えをみせています。そろそろ見切られそうな気がしますね。


安達は潰瘍性大腸炎を患いながら、遊撃手のレギュラーとしてチームを支え続けています。今季は32歳、このくらいの年齢で遊撃手をやっていると守備が衰えてくるものですが、安達はまだまだ堅実な守備力を維持しています。


松葉は入団から5年間ローテを守り、特に2年目には8勝1敗の好成績を残すのですが、そこから突き抜けることができず、徐々に消えていきました。ドラゴンズに移籍後、今季はチームのローテに定着しています。吉田一将はリリーフに転向後、毎年ブルペンを支えていますが、それほどの安定感は感じません。山崎は同じ左腕の松葉と印象が重なります。今季はローテに定着しており、良いときはすごい安定感なのですが、シーズン通しては活躍できない印象。この3人が期待通り育っていかないのはチームとして誤算でしょうね。


吉田正尚は今やチームの顔。小柄ながら厚みのある肉体のスラッガーというイメージを持っていましたが、今季の成績(これを書いている時点で、打率.355あります)はイチローのようになっています。予想外の方向で成長を遂げていますね。山岡は山本と並ぶチームのダブルエースの一角。田嶋は故障に悩まされているイメージがありましたが、今季はローテに定着しています。左腕エースとしてさらに成長してもらいたいです。


太田は今季1軍で3本塁打を放ちました。将来の三遊間レギュラー候補は間違いないでしょう。ゆくゆくはチームの柱になりそうです。宮城も高卒1年目で既に1軍のマウンドを踏みました。この2人が吉田山岡田嶋に続いていけば、魅力あるチームになりそうです。

ドラフト1位指名<千葉ロッテマリーンズ編>

今回見ていくのは、千葉ロッテマリーンズの1位指名です。

2008 木村    87.2
2009 荻野   715
2010 伊志嶺  236
2011 藤岡   484.2
2012 松永   297
2013 石川   850.1
2014 中村   471
2015 平沢   108
2016 佐々木千 117.1
2017 安田     8
2018 藤原     2
2019 佐々木朗

 

1P=1安打=1回とすると、ドラフト1位指名選手が獲得したポイントは、トータルで3377Pになります。
野手6人に対して投手6人と、野手重視の比率です。マリーンズのドラフトというと、クジ運が強いというイメージがあります(ドラ1のクジは外しても、外れ1位でまた競合し、そこで当たりクジを引いています。)。なんと、木村・荻野・中村の3人以外は全員が当たりクジを引き当てて獲得した選手です。多くのスカウトが間違いないと判断した選手が多く集まっていることになります。


荻野は24歳で入団以降、春先にすごい成績を残すのですが、気づいたら怪我でいなくなっているという印象がありました。それが、33歳で迎えた10年目の2019年シーズンに突如、キャリアハイの好成績(初の規定打席に到達してOPS.842)を残します。このような選手はあまり記憶にないので驚きでした。


松永・石川・中村の3人はそれぞれ、セットアッパー・エース・正遊撃手に育ちました。ものすごく派手な成績を残しているわけではないのですが、確実にチームの柱です。


さてそれ以外はというと、さびしい数字が並びます。大型左腕の木村は期待外れ、伊志嶺は1年目こそ規定打席に到達するのですが、2年目以降は突き抜けて成長していくことができませんでした。藤岡こそは間違いのない逸材だと思ったのですが、4年目以降に完全に失速。甲子園のスターだった平沢、外れ1位ながら5球団が競合した佐々木千隼も厳しい。


嫌な流れを断ち切りたいのが、安田と藤原の高卒ドラ1野手。安田は今季はシーズン途中から四番に固定されて我慢の起用が続いています。藤原もシーズン終盤に複数選手の新型コロナ感染による大量の選手の入れ替えを機に昇格後、好調な打撃をみせています。また、佐々木朗希を早く一軍で見たいのはマリーンズファンだけではないでしょう。この3人が順調に成長すれば、すごいチームになりそうです。

ドラフト1位指名<北海道日本ハムファイターズ編>

今回見ていくのは、北海道日本ハムファイターズの1位指名です。

2008 大野  419
2009 中村  289.1
2010 齋藤  364.2
2011 菅野  入団拒否
2012 大谷 1093.2
2013 渡邊  173
2014 有原  703.1
2015 上原  118.1
2016 堀岡  103.2
2017 清宮   83
2018 吉田   11
2019 河野

 

1P=1安打=1回とすると、ドラフト1位指名選手が獲得したポイントは、トータルで3359Pになります。
2011年に指名した菅野には入団拒否されてしまったので、他球団に比べて1人少ないのですがこのポイント数は見事です。大谷を投手0.5人・野手0.5人でカウントすると、野手3.5人に対して投手7.5人と、標準的な比率。斎藤佑樹や清宮といった超人気銘柄をクジで引き当てたり、大谷や吉田輝星を一本釣りしたりと、高校野球のスターを獲得する派手なチームという印象があります。


並んだ数字を見ると、やはり目を引かれるのは、大谷翔平ですね。フィクションを超えるような活躍をやってのけました。二刀流という前例のない起用法で、彼を辛抱強く育成したチームも見事でした。


大谷の去った後、チームのエースを担う有原も順調に数字を伸ばしています、いずれは彼もMLBに挑戦するのでしょうか。大野は、数字としてはやや地味ですが、彼の去った後でチームは正捕手育成に苦労しています。渡邊は、二塁手のレギュラーとして辛抱強く起用されており、「直球破壊王子」の異名で売り出し中ですが、守備がまだまだ雑なんですよね…さらなる成長を期待したいところです。


さて、これまで名前を挙げた以外の選手は、こういってはなんですが、期待外れ感があります。特に、斎藤佑樹、清宮、吉田輝星といった、入団の仕方が派手だった人ほど、その裏返して残念感が強い。清宮と吉田はまだまだこれからですが、来季にはそろそろ今後に期待のもてそうな数字を期待したいです。

ドラフト1位指名<福岡ソフトバンクホークス編>

今回見ていくのは、福岡ソフトバンクホークスの1位指名です。

2008 巽    54
2009 今宮  886
2010 山下   42
2011 武田  829.2
2012 東浜  525.1
2013 加治屋 109
2014 松本  121.2
2015 高橋   54
2016 田中   14.1
2017 吉住    0
2018 甲斐野  58.2
2019 佐藤

 

1P=1安打=1回とすると、ドラフト1位指名選手が獲得したポイントは、トータルで2694.2Pになります。
野手3人に対して投手9人と、やや投手多めの比率です。特に、2011年から18年までは8年間連続で投手でした。


今宮は高卒3年目で遊撃手のレギュラーに定着すると、今季で9年間もレギュラーを守り続けています。守備を買われて起用されているうちに打力も徐々に上がってきており、チームの屋台骨ですね。今宮の翌年、今度は捕手をということで獲得した高卒捕手の山下は期待外れに終わりましたが、山下のドラフト同期の育成6位の甲斐が正捕手になるというのもドラマです。


2011年から8年続いた投手ドラ1、武田・東浜は大当たりでしたが、以降が冴えません。高橋純平と甲斐野は2019年に中継ぎで大活躍でしたが、今季は故障でまだ一軍登板がありません。驚きなのは、5球団競合で間違いのない逸材と思われた、田中正義。キャリア通算でまだ11試合しか登板していません。期待外れ度でいうと、6球団競合の西武大石と双璧です。多数の球団が競合したからといって、プロ入りしてどうなるかわからないのが、ドラフト、そしてプロ野球の怖いところですね。


2019年には久しぶりに野手を指名しましたが、今年は誰を取るのでしょうか。