ドラフトの通信簿

NPBドラフトにおける、各球団の指名結果を採点します。

2021年ドラフト<東北楽天ゴールデンイーグルス編>

この年のイーグルスの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2022シーズン終了までの通算成績になります。)

 

1位 吉野創士  0安打
2位 安田悠馬  2安打
3位 前田銀治  0安打
4位 泰勝利   0回
5位 松井友飛  4回
6位 西垣雅矢 23.2回
7位 吉川雄大  5回
育1 宮森智志 23.1回
育2 柳澤大空  0安打
育3 大河原翔  0安打

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで58Pになります。


1位の吉野は高卒外野手。ドラ1候補としてはマークされてなかったので独自路線での獲得になります。ファームでは129打席でops.527、K/BBが0.113と、指名順位の価値があったかは不明。


2位の安田は大卒捕手。1軍での試合出場は5試合に留まりましたが、ファームでは90打席でops.851、K/BBが1.07とすばらしい成績を残しています。この打撃力ならコンバートもありではないでしょうか。


6位の西垣は24登板で防御率2.66、育成1位の宮森は26登板で防御率1.54、8ホールド1セーブの活躍でした。即戦力のリリーフですね。

2021年ドラフト<読売ジャイアンツ編>

この年のジャイアンツの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2022シーズン終了までの通算成績になります。)

 

外れ 隅田知一郎
1位 翁田大勢 57回
2位 山田龍聖  0回
3位 赤星優志 78回
4位 石田隼都  0回
5位 岡田悠希  2安打
6位 代木大和  0回
7位 花田侑樹  0回
育6 菊地大稀 17.2

育1-5、7-10 略  0

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで154.2Pになります。


1位の翁田(登録名は「大勢」)は、ルーキーながらクローザーのポジションに抜擢されて37セーブ、チームに欠かせない存在としてフィットしました。160キロにせまるシュート変化量の大きいフォーシームとフォークのコンビネーションで、右打者左打者を問わず抑えています。


3位の赤星は開幕からローテ入り。6月に調子を落として夏場は中継ぎとして起用されましたが、9月には再び先発として安定感のある投球を見せました。今季は5勝5敗5ホールドの成績を残しましたが、来季はやはり先発でその姿が観たい。

2021年ドラフト<福岡ソフトバンクホークス編>

この年のホークスの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2022シーズン終了までの通算成績になります。)

 

1位 風間球打  0回
2位 正木智也 17安打
3位 木村大成  0回
4位 野村勇  43安打
5位 大竹風雅  0回
育1-14 略  0

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで60Pになります。


1位の風間は小園・森木とならぶ高校BIG3として注目された逸材でしたが、公式戦登板はなし。女性問題で文春砲を浴び、野球以外で注目されたのは残念。


2位の正木は大卒外野手。長打力だけでなく選球眼の良さも光り、OPS.815の好成績を残しました。CSでの出番はそれほどありませんでしたが、世代交代が進むチーム内で注目の存在です。


4位の野村は大卒社会人の内野手。二・遊・三と内野をどこでもこなせるユーティリティぶりだけでなく、OPS.800と意外な打棒も魅力。社会人野球の内野手の即戦力ぶりが証明された格好です。


このチームで目を引くのは育成枠での大量指名で、この年は14名を指名しました。多くは一軍出場ないまま球界を去ることになりますので、彼らのセカンドキャリアを考えると私はこのやり方に賛成できません。

2021年ドラフト<広島東洋カープ編>

この年のカープの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2022シーズン終了までの通算成績になります。)

 

外れ 隅田知一郎
外れ 山下輝
1位 黒原拓未  9.2回
2位 森翔平  19回
3位 中村健人 29安打
4位 田村俊介  0安打
5位 松本竜也 55.2回
6位 末包昇大 23安打
7位 髙木翔斗  0安打
育1 新家颯   0回
育2 前川誠太  0安打
育3 中村来生  0回
育4 坂田怜   0回

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで136.1Pになります。ライオンズ同様に1位2位で即戦力左腕を求めた指名。クジを当てたライオンズと外したカープで明暗が分かれましたが、1年たってみてどうでしょうか。


1位では隅田・山下とクジを連続で外した末に黒原を指名。とにかく即戦力左腕がほしいというチーム事情が見えます。その黒原ですが、中継ぎとして12登板して防御率は6.52の成績は期待外れか。


2位の森は大卒社会人の左腕。やはり即戦力左腕を求めての指名です。中継ぎとして6登板、先発として2登板して1勝を挙げ、防御率1.89の成績を残しました。奪三振に対して与四球が多く、今後も活躍できるかは疑問符がつきます。


5位の松本は高卒社会人の右腕。50登板して防御率3.56と、早くもブルペンで頭角を現しました。


6位の末包(すえかね)は大卒外野手。80打席でOPSは.742をマークしました。四球が極端に少ないため今後の継続性にはやや疑問符がつきますが、鈴木誠也に続いて、西川・野間のFA流出が噂される中、来季も期待したい人材です。

2021年ドラフト<埼玉西武ライオンズ編>

この年のライオンズの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2022シーズン終了までの通算成績になります。)

 

1位 隅田知一郎 81.2回
2位 佐藤隼輔  47回
3位 古賀悠斗   9安打
4位 羽田慎之介  0回
5位 黒田将矢   0回
6位 中山誠吾   0安打
育1 古市尊    0安打
育2 滝澤夏央  19安打
育3 菅井信也   0回
育4 川村啓真   0安打

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで156.2Pになります。1位2位で大卒即戦力左腕、3位で大卒捕手、4、5位で高卒長身投手を獲得し、意図がはっきりと感じられる指名になりました。


1位の隅田は4球団競合で獲得された期待のルーキー。初年度は1勝10敗で防御率3.75と期待外れの成績に終わりました。4月に好投していたときに山川が戦線離脱しておりチームが勝ちきれなかったのは不運でしたが… 4球団競合の大卒左腕といえばこの1年前に早川がいますが、彼も今季はイマイチでした。即戦力の大卒左腕はドラフトでの大人気銘柄なのですが、見直しが必要なのかもしれません。


2位の佐藤も同じく大卒左腕。ドラフト直後にはローテ級の先発投手を2枚獲得した良い指名と言われていました。初年度の成績は3勝4敗で防御率4.60。こちらも期待外れでしたでしょうか?来年度の覚醒に期待したいですね。


3位の古賀は大卒捕手。今年度は20試合で捕手として先発出場し、これは森(82試合)と柘植(31試合)に次ぐ回数です。森がFAで流出することになった場合は、チームの柱として期待がかかります。


4位の羽田は高卒の長身左腕、5位の黒田は高卒の長身右腕の、ポテンシャル採用。ファームでも目立った成績ではありませんが、長身というのははっきりと目に見えたメリットですので、今後の期待は大です。


育2の滝澤は高卒の遊撃手。身長164cmで現在のNPB登録選手の中で最も身長の低い選手です。今季は源田の控えとして25試合でショートでスタメン出場しました。源田との年齢差を考えると控えとしてはうってつけ。今後も注目したい選手です。

2021年ドラフト<中日ドラゴンズ編>

この年のドラゴンズの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2022シーズン終了までの通算成績になります。)

 

1位 ブライト健太 0安打
2位 鵜飼航丞 37安打
3位 石森大誠  0回
4位 味谷大誠  0安打
5位 星野真生  0安打
6位 福元悠真  1安打

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで38Pになります。投手豊作と言われたこの年のドラフトで、1位2位で右打ちの大卒外野手指名という独自路線を走りました。


1位のブライトは一軍での試合出場はなし。ファーム成績では、打率.211でOPS.600、BB/Kは0.311と不安な数値が並びます。ドラ1の大卒選手ですから一度は一軍で披露されそうなものですが、その機会すらないというのは厳しい。


2位の鵜飼は一軍で、打率.206でOPS.589、BB/Kは0.140と、タイガースの江越の1年目とよく似た成績です。ホームランは4本放っていますが、江越ルートを外れて成長していけるかどうか。

2021年ドラフト<北海道日本ハムファイターズ編>

この年のファイターズの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2022シーズン終了までの通算成績になります。)

 

1位 達孝太   3回
2位 有薗直輝  0安打
3位 水野達稀  5安打
4位 阪口樂   1安打
5位 畔柳亨丞  1回
6位 長谷川威展 2回
7位 松浦慶斗  1回
8位 北山亘基  51.1回
9位 上川畑大悟76安打
育1 福島蓮   0回
育2 速水隆成  0安打
育3 柳川大晟  0回
育4 阿部和広  0安打

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで140.1Pになります。他球団が7位までで指名を終える中、この年のファイターズは9位まで指名を行いましたが、その8位と9位の指名選手が期待に応える活躍をしました。


8位の北山は大卒右腕。5、6月は調子を落としましたが通年で登板し、55試合に登板して防御率3.51、16ホールド・9セーブを記録しました。高めの直球の威力が魅力ですが、制球や変化球の改善に課題有り、とはいえ指名順位を考えると掘り出し物の逸材です。


9位の上川畑は大卒で社会人野球を経て入団した遊撃手。62試合で遊撃手としてスタメン起用され、OPS.716を記録しました。社会人野球の遊撃手が下位指名されて活躍というのは、前年のタイガースの中野(2020年6位)に続きます。遊撃手に困っているチームはこの手の指名に賭けるというのも手ではないでしょうか。