ドラフトの通信簿

NPBドラフトにおける、各球団の指名結果を採点します。

2020年ドラフト<東北楽天ゴールデンイーグルス編>

この年のイーグルスの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2021シーズン終了までの通算成績になります。)

 

1位 早川隆久 137.2回(4球団競合)
2位 高田孝一   6.2回
3位 藤井聖    0回
4位 内間拓馬  10.2回
5位 入江大樹   0安打
6位 内星龍    0回
育1 石田駿    0回

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで155Pになります。カープと同様、1位から4位までを即戦力投手という弱点補強的な指名ですが、即戦力として機能したのは早川だけという結果になりました。


1位でこの年のドラフトの1番人気、4球団競合左腕の早川を獲得しました。一年目からローテ入りすると、9勝7敗で防御率3.86を記録しました。規定投球回にはわずかに届かず、2ケタ勝利も逃してしまいましたが、K/BBは4.23に達し、投球内容はエース級です。田中・則本・岸・涌井とビッグネームが並ぶイーグルスの投手陣ですが、次世代のエースは早川で間違いないでしょう。


2位の高田と3位の藤井は、ファームでそれぞれ、防御率3.21,3.56ながら、K/BBは1.63,1.46と、安定感が今一つ。イーグルスの先発陣に割って入るにはレベルアップが必要です。

2020年ドラフト<広島東洋カープ編>

この年のカープの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2021シーズン終了までの通算成績になります。)

 

1位 栗林良吏 52.1回
2位 森浦大輔 48.1回
3位 大道温貴 53回
4位 小林樹斗  3.2回
5位 行木俊   0回
6位 矢野雅哉  0安打
育1 二俣翔一  0回

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで157.1Pになります。1位から3位までを即戦力投手という弱点補強的な指名ですが、単なる弱点補強ではなく、チームの強みをつくる指名になりました。


1位で大卒社会人の即戦力投手、栗林を一本釣り。ドラフトの時点で既に1年前の森下の指名と似た雰囲気を感じました。1年目からクローザーとして起用されると、防御率0.86で37セーブという凄まじい成績を残し、東京五輪では侍ジャパンのクローザーも務めました。日本人をクローザーに置くチームが少ない中、カープの強みになっています。(個人的には栗林に先発適性がないわけではないのに、チーム事情でクローザーに置いてしまうのはもったいない気がしています。リリーフは消耗が激しいですから、せっかくの逸材を使いつぶしてしまうよりは外国人に任せるのが簡単なのかなと…)


2位の森浦は防御率3.17で3勝3敗20ホールドと、左腕セットアッパーの役割にすっぽりと収まりました。栗林の活躍の陰に隠れがちですが、この2人の存在で終盤の安定感が大いに増しています。


3位の大道は開幕からリリーフとして起用されて安定感ある投球を続けていたのですが、5月に不調に陥ると、6月からは先発として起用されます。結果的には4勝4敗3ホールドと、即戦力として十分な働きでした。来季以降は先発とリリーフどちらで勝負するのか注目ですね。


4位の小林は高卒ルーキーですが、シーズン最終戦で初登板初先発を果たしました。結果的には6失点で勝ち負け付かずでしたが、チームからの期待を感じます。

2020年ドラフト<北海道日本ハムファイターズ編>

この年のファイターズの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2021シーズン終了までの通算成績になります。)

 

1位 伊藤大海 146回
2位 五十幡亮汰 18安打
3位 古川裕大   0安打
4位 細川凌平   5安打
5位 根本悠楓   0回
6位 今川優馬   2安打
育1 松本遼大   0回
育2 齋藤伸治   0回

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで171Pになります。


1位では地元出身の即戦力投手、伊藤を指名。他との競合を避けた消極的な指名にも思えたのですが、1年間ローテを守り10勝9敗といきなり2ケタ勝利を果たしました。東京五輪での好救援も記憶に新しいですね。


2位の五十幡は俊足(中3時には100m走と200m走でサニブラウンを抑えて全国1位になっています。)の外野手。ルーキーイヤーは怪我に泣き、18安打(ops.569)に終わりましたが、9盗塁を記録しています。ファームでも78打席にしかたっていませんが、ops.883でBB/Kが1.300と、ファームのレベルではない打力を既に持っています。来季は一軍でスタメン定着に期待してよいでしょう。


他に注目したいのは、6位の今川。大卒で社会人野球を経て入団した外野手ですが、一軍初安打で2ランホームランを放っています。ファームでの成績はops.961でBB/K.333と粗さを感じますが、それでも14本のホームランを記録しており、清宮と万波に次ぐ長打力が期待させます。

2020年ドラフト<東京ヤクルトスワローズ編>

昨夜の日本シリーズ第6戦、最後まで目の離せない熱戦になりました。東京ヤクルトスワローズの選手・スタッフ・ファンのみなさん、おめでとうございます。


さて、昨日はオリックスバファローズの2020年ドラフト評価を投稿しましたが、今日は東京ヤクルトスワローズです。ウェーバー順にチェックしていくのでこの順になったのですが、セパ共に前年度最下位からリーグ制覇して日本シリーズ進出というのは本当にすごいですね。

この年のスワローズの指名は以下の通りでした。(選手名の横の数値は、2021シーズン終了までの通算成績になります。)

 

外れ 早川隆久
外れ 鈴木昭汰
1位 木澤尚文  0回
2位 山野太一  1.1回
3位 内山壮真  0安打
4位 元山飛優 53安打
5位 並木秀尊  1安打
6位 嘉手苅浩太 0回
育1 下慎之介  0回
育2 赤羽由紘  0安打
育3 松井聖   0安打
育4 丸山翔大  0回

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで55.1Pになります。


とにかく投手の即戦力がほしいというドラフト、早川・鈴木と連続でクジを外した後、1位で木澤、2位で山野と、大卒の即戦力投手を指名します。しかし、木澤は一軍登板なし・ファームで防御率6.07と苦戦、山野は一軍で開幕ローテ入りしますが1.1回を7失点、ファームでもわずか4イニングしか投げていません。


ショートのレギュラーがなかなか定まらないスワローズ、20年には助っ人のエスコバーが最多出場で、西浦が二番手でした。20年のドラフトでは4位で元山を指名すると背番号6をいきなり与え、21年開幕前には田口とのトレードで廣岡をジャイアンツに放出します。指名順位は4位ながら現場からかなり期待されていることがうかがえます。そして迎えた21年シーズンですが、ショートのスタメンは西浦が71試合・元山が60試合と、大卒ルーキーながら二番手を務めました。西浦(30)との年齢差を考えると理想的な世代交代がなされていきそうです。(余談ですが、エスコバーは21年シーズン、ワシントンナショナルズで75試合349打席でOPS.744を記録しています。スワローズにいた時より打っていますね。。。)


まだ一軍で活躍はしていませんが、ファーム成績が光ったのが3位の内山。高卒ルーキーながら、OPS.733・BB/K.692の好成績を残しました。捕手のポジションは中村(31)が健在ですが、次世代の正捕手候補として期待ができそうです。

2020年ドラフト<オリックスバファローズ編>

今年の日本シリーズは本当におもしろい!本日の第6戦はまさかの神戸開催、そんなところも見どころですね。

さて、日本シリーズはまだ終わっていませんが、2021シーズンは既に終わっておりますので、2020年のドラフトの評価をしていこうと思います。

(本ブログでは、08-18年のドラフトに対して19年までの通算成績で評価しておりました。その後、20シーズンの終了を受けて、19年ドラフトの評価と17,18年ドラフトの再評価を行いました。21シーズンの終わったこのタイミングで、20年ドラフトの評価と、18,19年ドラフトの再評価を順に行っていく予定です。)


まずは、オリックスバファローズからです。この年のバファローズの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2021シーズン終了までの通算成績になります。)

 

外れ 佐藤輝明
1位 山下舜平大 0回
2位 元謙太   0安打
3位 来田涼斗 13安打
4位 中川颯   1回
5位 中川拓真  0安打
6位 阿部翔太  3.2回
育1 川瀬堅斗  0回
育2 辻垣高良  0回
育3 宇田川優希 0回
育4 釣寿生   0安打
育5 佐野如一  0安打
育6 古長拓   0安打

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで17.2Pになります。近年のバファローズのドラフト戦略は即戦力よりも素材重視ですが、即戦力が豊富だったこの年のドラフトでもその戦略をブレることなく貫いた印象です。


まず、レギュラー不在の三塁を埋めるために佐藤を1位指名するのですがこれは外してしまいます。結果的には、宗が三塁のレギュラーをモノにしましたので、これはこれでよかったのではないでしょうか。


1位の山下、2位の元と、共に体格に秀でてポテンシャルの高そうな高卒の素材型を獲得します。共に初年度のファーム成績はかなり苦しんでいます(山下が防御率5.48、元がOPS.428)が、まだまだ獲得の成否を判断する段階ではないでしょう。


元よりも先に結果が出たのは、3位の来田です。一軍での初打席の初球を本塁打にしますが、NPBの高卒新人では初の快挙でした。


4位の中川颯は大卒アンダースロー右腕。一軍での出番は1イニングのみでしたが、ファームでは好成績を残しています。来年度以降の活躍に期待できそうです。


育成枠では、育5の佐野如一が開幕前に支配下登録を勝ち取っています。

2021年ファーム成績<千葉ロッテマリーンズ編>

本日は、イースタン首位のマリーンズのファーム成績を見ていきます。 まずは、野手からです。今季、150打席以上与えられた選手を、名前・開幕時での年齢・打席数・OPS・BB/Kの順に記載しており、打席数の順でソートしています。

平沢  23 380 .749 .759
福田光 23 329 .633 .707
西巻  21 313 .659 .837
髙部  23 237 .850 .648
宗接  26 225 .615 .409
菅野  27 219 .691 .647
西川  18 216 .491 .320
山本  18 193 .676 .444
植田  23 182 .505 .500
藤原  20 168 .830 .878
小川  22 165 .490 .538
佐藤都 23 165 .890  1.000
福田秀 32 160 .864  1.034

 

BB/Kが1.000を超えているのは、佐藤(19年2位)です。打撃に関してはファームでやることはもうないというレベルに達しています。CSのファーストステージでは代打でサヨナラ打を放つなど、代打要員としての存在感はあります。捕手としてのライバルは田村(12年3位)と加藤(ドラゴンズ14年5位)。一軍でのOPSは佐藤.670に対して、田村.618に加藤.300。これだと佐藤に賭けるのが良いように思うのですが…よほど捕手として信用されていないのでしょうか。(福田(ホークス06年高1位)については、育成という点で語ることは特にないのでスルーします。)

他には、藤原(18年1位)の成長が順調です。こちらも打撃に関してはファームでやることはもうないというレベルに達しています。一軍での成績は好不調の波が大きすぎましたが、未来の主戦力として期待は大きいです。平沢(15年1位)はようやくファームで安定した数字が残せるようになりましたが、昨季に続き今季も一軍出場なしに終わってしまいました。このあたり、首脳陣からの評価が気になります。

 

続いて、投手です。ファームで2021年シーズン150人以上の打者と対戦した選手を、名前・開幕時での年齢・対戦打者数・防御率・K/BBの順に記載しており、対戦打者数の順でソートしています。

森   21 486 3.20 2.02
佐藤奨 22 372 3.50 1.45
本前  23 329 3.53 2.39
土肥  25 228 5.33 2.05
中村  24 183 2.68 4.00
河村  23 179 1.64 3.14
山本  25 179 2.81 1.75
大嶺  32 155 3.63 0.85
小沼  22 152 2.86 2.00

 

森(17年育2)と佐藤(20年育4)の2名が規定投球回数に達しています。さらにこの2人に次いで出番を与えられた本前(19年育1)もあわせて、上位3名が育成選手というのは珍しい。育成選手に積極的に経験を積ませようという方針なのか、それとも単に支配下の選手で経験を積ませたくなるような若手投手を確保できていないのか?3人とも突き抜けた成績ではありませんので、このままだと支配下は厳しいかもしれません。

期待できそうなのは河村(20年4位)でしょうか。1軍で5先発して4勝1敗と安定感を見せました。他には中村(18年5位)でしょうか。ドラフト同期の小島(18年3位)とは差がついてしまいましたが、左腕ということで先発は無理でもリリーフで期待ができそうな気がします。

 

次回からは、2020年ドラフトの評価をしていきます。即戦力ルーキーが豊作な年になりましたので、チェックしていくのが楽しみですね。

2021年ファーム成績<読売ジャイアンツ編>

本日は、イースタン2位のジャイアンツのファーム成績を見ていきます。 まずは、野手からです。今季、140打席以上与えられた選手を、名前・開幕時での年齢・打席数・OPS・BB/Kの順に記載しており、打席数の順でソートしています。

ウレー 21 320 .717 .397
秋広  18 302 .660 .343
八百板 24 284 .782 .886
平間  24 255 .763 .967
石川  27 219  1.033 .846
湯浅  21 203 .706 .578
立岡  30 198 .784 .566
香月  24 195 .732 .615
廣岡  23 192 .943 .906
喜多  22 183 .580 .384
中山  18 175 .727 .333
北村  25 173 .635 .533
菊田  19 171 .704 .173
重信  27 169 .875 .592
陽   34 166 .711 .333
保科  22 157 .663 .406
増田陸 20 141 .639 .363

 

圧倒的な成績を残したのが、石川(ファイターズ11年3位)と廣岡(スワローズ15年2位)です。廣岡は原監督からはかなり期待されている様子でしたが、今季の一軍ではOPS.643とブレイクには至りませんでした。ですが、年齢とこのファーム成績を考えると魅力的な逸材であることは間違いありませんね。(石川や、立岡(ホークス08年2位)、重信(15年2位)あたりは一軍でもおなじみで、年齢を考えると伸びしろは少な目ですのでスルーします。)

他には、八百板(イーグルス14年育1)と平間(19年育1)が仕上がった成績になっています。八百板の方はCS1stステージで印象的な活躍をしましたね。2人とも派手さはないですが、松原に続くブレイク候補として来季に期待が持てます。

話題性では、秋広(20年5位)や増田陸(18年2位)ですが、2人ともまだ粗さのある成績です。一軍はもうちょっと先ですね。

 

続いて、投手です。ファームで2021年シーズン150人以上の打者と対戦した選手を、名前・開幕時での年齢・対戦打者数・防御率・K/BBの順に記載しており、対戦打者数の順でソートしています。

井納  34 448 4.07 2.40
戸田  20 359 3.30 2.44
横川  20 347 4.03 2.52
堀岡  22 289 4.10 2.36
平内  22 244 3.13 3.29
古川  25 243 2.18 4.64
鍬原  25 220 5.29 1.59
山本  22 208 5.36 1.00
直江  20 186 7.26 1.88
山崎友 22 185 7.68 0.82

 

平内(20年1位)は期待のドラ1ルーキーだったわけなのですが、ご覧のとおりの成績でした。1軍でこの数値ならアタリといえるのですが… ちなみに山崎伊(20年2位)はドラフト前にトミージョン手術を受けており、現在リハビリ中です。リストに載っているのは山崎友(20年育10)ですのでご注意を。

古川(13年イーグルス4位)は成績を考えるともう少し1軍で出番を与えてもよかったのではないかなと思うのですが、なかなか厳しいですね。