ドラフトの通信簿

NPBドラフトにおける、各球団の指名結果を採点します。

2014-2016年ドラフト<3か年集計編>

2014、2015、2016と3年分のドラフトを振り返ってきましたが、この3年分を集計してみたいと思います。

まずは、チームごとの合計ポイントです。

 

オリ 2984.1
De 2890 
西武 2557.1
ハム 2452.1
阪神 2097.1
中日 2072.2
楽天 1862.2
ロッ 1773.2
広島 1758
読売 1657.2
ヤク 1141.2
SB  243

 

続いて、獲得した主要選手(これまでの3か年集計よりも、ややハードルを下げて、期待値込みで選出しました。)です。

オリ 西野/吉田正・近藤・大城/山岡・山本・榊原
De 山崎・石田・倉本/今永・柴田/濱口・佐野
西武 高橋光・外崎/多和田・本田/源田・今井・平井
ハム 有原・清水・石川/加藤・井口/玉井・堀・石井
阪神 なし/髙山・青柳/大山・糸原・小野
中日 加藤/小笠原・木下・福・阿部/京田・柳・笠原・藤嶋
楽天 なし/茂木・石橋・堀内/田中・藤平・森原・高梨
ロッ 中村・岩下/東條/種市・酒居
広島 野間・薮田/西川・岡田/床田・アドゥワ
読売 岡本・高木/桜井・中川/吉川
ヤク なし/原・廣岡/梅野
SB 栗原/高橋純/なし

この3か年のドラフトは、バファローズが一番の勝ち組でした。失礼ながら、おとなりのタイガースに比べてやや地味な印象のあるチームでしたが、吉田・山岡・山本と、球界トップクラスの人材を手に入れます。2015年から5年連続でBクラスに沈んでいますが、そろそろAクラス入りするんじゃないでしょうか。何かあと一押しあればうまく歯車が回転し、良い連鎖反応が起きていきそうな、そんな気配を感じます。今季はアダム・ジョーンズの補強が話題ですが、最後の「一押し」を彼に期待したいです。

そして、セリーグではベイスターズのドラフトが良い。こちらはラミレス監督就任後は3→3→4→2位のAクラス3回と結果が出始めています。Denaのチーム買収以降、戦力的にも商業的にも大きな成功を収めていますが、そろそろ優勝が見たいですね。

その他では、パではライオンズとファイターズ、セではタイガースとドラゴンズのドラフトが成功しています。ライオンズは辻監督就任以降2→1→1位とめっぽう強いですが、この黄金期は秋山が抜けてもまだ続きそうな気配です。ファイターズはスクラップ&ビルドを繰り返すチームで、大谷のMLB挑戦以降は若手育成モードに入った感がありますが、有原が流出しない間に優勝争いがまたできそうですね。タイガースは金本監督就任以降、育成色が強まりました。まだ侍ジャパン級のスター(本当は藤浪がそうなっていなくてはいけなかった…)を輩出するところまでは来ていませんが、外国人補強が当たればいいところにきそうな感じな地力はあります。ドラゴンズは落合監督退任後に冬の時代が長く続きましたが、野手陣に充実感が出てきました。あとは、柳や小笠原らの投手陣の強度が増せば、ここから黄金期をつくって行けそうな雰囲気があります。

2019オフは、イーグルスとマリーンズの積極補強が話題になりました。現段階ではこの3か年のドラフトでそれほどポイントは伸びていませんが、上の主要メンバーを見ると、なるほどフロントが期待するのもわからないではないという感じです。

カープセリーグ3連覇で1つのサイクルが終わった感じがあります。ここから数年は育成モードに入っていきそうな気配です。スワローズは選手層が薄いので若手にも充分な出場機会があるはずなのですが、これだけポイントが伸びないのは厳しいですね。

そして、気になるのが、ジャイアンツとホークス。ジャイアンツはFAや外国人でしっかりとした補強をするチームですが、この3か年でこれくらいのポイントしかでていないと、さすがに今後は苦戦するんじゃないのかという気がします。そのジャイアンツよりも深刻なのがホークス。2017年ドラフトでの育成選手4人が支配下登録されたことがつい先ごろ発表されたばかりなのですが、この2014-2016の3か年での失敗ドラフトは、いくらホークスでもキツいのではと思います。

というわけで、まもなく開幕される(はず…)2020年のNPB、個人的には、ライオンズとベイスターズのさらなる熟成、辛酸をなめてきたバファローズとドラゴンズの逆襲、タイガースとファイターズの成長に、注目してみていこうと思います。

2016年ドラフト<集計編>

さて、チーム毎に振り返ってきた2016年ドラフトですが、獲得ポイント順に並べると次の通りとなります。(ポイントの横は、獲得した主要選手です。)

 

オリ 1075.2 山岡・山本・榊原
中日 1014.2 京田・柳・笠原・藤嶋
阪神  960.2 大山・糸原・小野
西武  895.2 源田・今井・平井
ロッ  734.1 種市・酒居
楽天  663.1 田中・藤平・森原・高梨
De  596   濱口・佐野
広島  393.2 床田・アドゥワ
ハム  378   玉井・堀・石井

ヤク  346.2 梅野
読売  317.2 吉川
SB   24.1 なし

 

この年は、田中(SB)と佐々木(ロッテ)の2投手が即戦力のエース級投手と見られており、この2人への指名の集中が予想されました。ところが、ふたを開けてみると田中には5球団が集中したのに対して、佐々木は指名がなし。佐々木を指名するという報道の多かったタイガースは多くのファンがノーマークだった大山を指名したため、虎ファンの悲鳴が上がる衝撃の1巡目指名になりました。結局、佐々木がハズレ1位ながら5球団の抽選となったことも、大山指名の残念感に拍車をかけましたね。
今にしてこのドラフトをふりかえると、田中と佐々木の2人がプロ入り後につまずいたのをよそに、侍ジャパン級のダブルエースに駆け上がっていった山岡・山本を手に入れることができたバファローズが最大の勝者ということになります。さらに、タイガースが佐々木をスルーしてまで手に入れた大山は、チームの主力野手に成長していきました。タイガースの野手の層の薄さを考えると大山の存在は貴重です。
また、プロでも高いレベルで遊撃手を任せられるドラフト候補として、京田と吉川の2名が高い評判を得ていました。しかしながら、京田がすっかり1軍に定着している一方で、吉川は高いポテンシャルを秘めながらも怪我で1軍定着がままならず、ドラフト前にはほぼ無名だった源田が大活躍をするというのもおもしろいところです。

2016年ドラフト<広島東洋カープ編>

この年のカープの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2019シーズン終了までの通算成績になります。)

外れ 田中正義
外れ 佐々木千隼
1位 加藤拓也   37.1回
2位 高橋昂也   21回
3位 床田寛樹  157回
4位 坂倉将吾   16安打
5位 アドゥワ誠 159回
6位 長井良太    3.1回

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで393.2Pになります。
3位の床田は1年目に開幕ローテ入りするのですが、3試合目で怪我。その後トミージョン手術を受けて、2年目は全休します。3年目の昨季は24試合に先発しました。カープというと左腕投手が育たない印象がありますが、床田は左腕エースに成長できるでしょうか。
5位のアドゥワは2年目に中継ぎとして1軍デビュー。酷使されているイメージがありましたが、3年目の昨季に先発転向。荒さは感じますが球威充分の投手です。今後の期待株が4位の坂倉。ファームでは充分な打力を発揮しており、正捕手の座を眈々と狙います。

2016年ドラフト<北海道日本ハムファイターズ編>

この年のファイターズの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2019シーズン終了までの通算成績になります。)

外れ 田中正義
外れ 佐々木千隼
1位 堀瑞輝  103.2回
2位 石井一成 137安打
3位 高良一輝   0回
4位 森山恵佑   0安打
5位 高山優希   0回
6位 山口裕次郎  入団拒否
7位 郡拓也    1安打
8位 玉井大翔 134.1回
9位 今井順之助  2安打

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで378Pになります。
8位の玉井は年々登板数を増やし、3年目の昨季は65登板で11ホールドの成績を残しました。このまま成長すれば、より重要な場面での起用も増えてくるでしょう。
1位の堀はまだ粗削りですが、高卒3年目の昨季は53登板(うち10先発)しました。まだ戦力として計算できる選手ではありませんが、先発にせよ中継ぎにせよ、今後の伸びしろを感じる選手です。
ファイターズの遊撃手のレギュラーは中島。その中島のレギュラーを脅かす存在が、2位の石井です。中島の打力には頭打ち感がありますので、石井が打力を伸ばしていければ出番を増やしていけるのではないでしょうか。

2016年ドラフト<読売ジャイアンツ編>

この年のジャイアンツの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2019シーズン終了までの通算成績になります。)

 

外れ 田中正義
外れ 佐々木千隼
1位 吉川尚輝 99安打
2位 畠世周  97.2回
3位 谷岡竜平 31回
4位 池田駿  63回
5位 高田萌生  7回
6位 大江竜聖 10.2回
7位 廖任磊   3回
育1 高井俊   0回
育2 加藤脩平  0安打
育3 山川和大  0回
育4 坂本工宜  2回
育5 松原聖弥  0安打
育6 高山竜太朗 0安打
育7 堀岡隼人  4.1回
育8 松澤裕介  0安打

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで317.2Pになります。

吉川は全ての身体能力が高く、二塁守備も遊撃守備も高レベルにこなすことができるのですが、とにかく怪我が多い選手です。シーズン通して一軍にいることができるのなら、坂本をより負担の少ないポジションにコンバートすることもありうるとは思うのですが…。

畠は1年目に12先発したのですが、2年目3年目と大きな活躍ができていません。1年目のよかったころの印象があるので、チームの期待は大きいと思います。

2016年ドラフト<福岡ソフトバンクホークス編>

この年のホークスの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2019シーズン終了までの通算成績になります。)

1位 田中正義 14.1回(5球団競合)
2位 古谷優人  0回
3位 九鬼隆平  0安打
4位 三森大貴 10安打
育1 大本将吾  0安打
育2 長谷川宙輝 0回
育3 田城飛翔  0安打
育4 森山孔介  0安打
育5 清水陸哉  0安打
育6 松本龍憲  0安打

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで24.1Pになります。
5球団競合で1位の田中を手に入れます。大学4年時の投球は、いますぐプロ入りしてもエース格になれそうな、すさまじい投球だったのですが… 1年目の3月中旬に右肩痛のリハビリに入り、まだ14.1回の登板に留まっています。このまま上がってこないんじゃないかという気がしますね…

3位の九鬼の期待値が高いようですが、まだ1軍では無安打です。

2016年ドラフト<横浜Denaベイスターズ編>

この年のベイスターズの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2019シーズン終了までの通算成績になります。)

外れ 柳裕也
外れ 佐々木千隼
1位 濱口遥大 300.2回
2位 水野滉也   4.2回
3位 松尾大河   0安打
4位 京山将弥  94.2回
5位 細川成也  22安打
6位 尾仲祐哉  36.2回
7位 狩野行寿   0安打
8位 進藤拓也  22回
9位 佐野恵太  90安打
育1 笠井崇正  25.1回

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで596Pになります。
1位の濱口は1年目からローテ入りすると22先発10勝6敗の好成績を収めます。投球回数よりも多い奪三振ながら、与四球もまた多いというスタイルです。2年目3年目は怪我で18先発16先発と、先発回数は減ってしまいましたが、3年目の昨季は制球力の向上が感じられ、防御率が良化しました。今季の成績は期待できそうですね。
注目は9位の佐野。まだ90安打しか放っていませんが、ラミレス監督から筒香の後任としてチームのキャプテンに任命されました。驚きの大抜擢ですが、今季は期待に応えることができるでしょうか。
5位の細川はまだ1軍での出番は多くありませんが、昨季にはファームで308打席に立ち、打.293 出.367 長.537 ops.904 15本塁打の好成績を残しています。