ドラフトの通信簿

NPBドラフトにおける、各球団の指名結果を採点します。

2020年ドラフト<読売ジャイアンツ編>

この年のジャイアンツの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2021シーズン終了までの通算成績になります。)

 

外れ 佐藤輝明
1位 平内龍太 5回
2位 山崎伊織 0回
3位 中山礼都 0安打
4位 伊藤優輔 0回
5位 秋広優人 0安打
6位 山本一輝 0回
7位 萩原哲  0安打
育1 岡本大翔 0安打
育2 喜多隆介 0安打
育3 笠島尚樹 0回
育4 木下幹也 0回
育5 前田研輝 0安打
育6 坂本勇人 0安打
育7 戸田懐生 3回
育8 阿部剣友 0回
育9 奈良木陸 0回
育10山﨑友輔 0回
育11保科広一 0安打
育12加藤廉  0安打

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで8Pになります。ホークスとは異なり大卒も獲得しているのですが、それでこのポイントはかなり乏しいドラフトでしょう。


1位の平内はリリーフで3試合に登板するのですが、いずれも失点してしまい、二軍に降格。ファームでは防御率3.13、K/BB3.29というまずまずの成績を残すのですが、再昇格はありませんでした。


2位の山崎はドラフト前にTJ手術を受けながらも2位指名を受けます。今季はリハビリにつとめ、来季から実戦復帰です。一方で、4位の伊藤は今季11月にTJ手術を受け、育成再契約となりました。近年のジャイアンツに多いパターンなのですが、スカウティングの段階で問題がありそうです。

2020年ドラフト<福岡ソフトバンクホークス編>

この年のホークスの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2021シーズン終了までの通算成績になります。)

 

外れ 佐藤輝明
1位 井上朋也  0安打
2位 笹川吉康  0安打
3位 牧原巧汰  0安打
4位 川原田純平 0安打
5位 田上奏大  0回
育1 佐藤宏樹  0回
育2 中道佑哉  0回
育3 桑原秀侍  0回
育4 早真之介  0安打
育5 緒方理貢  0安打
育6 居谷匠真  0安打
育7 大城真乃  0回
育8 中村亮太  0回

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで0Pになります。1位から4位まで高卒野手、5位は高卒投手という極端な指名です。


1位の井上は花咲徳栄高で1年からレギュラーに定着した逸材。三軍ではなく二軍である程度の経験(133打席)を積んでおり、ops.702でBB/Kは.237という結果でした。

2020年ドラフト<中日ドラゴンズ編>

この年のドラゴンズの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2021シーズン終了までの通算成績になります。)

 

1位 髙橋宏斗   0回
2位 森博人  12回
3位 土田龍空  2安打
4位 福島章太  0回
5位 加藤翼   0回
6位 三好大倫  0安打
育1 近藤廉   2回
育2 上田洸太朗 0回
育3 松木平優太 0回

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで16Pになります。1位2位が愛知出身、5位が岐阜出身と、地元志向の強いドラフトです。


1位の髙橋は中京大中京のエース右腕。慶応大への進学を希望していましたが不合格となり、プロ志望したところを1位指名されます。1年目の今季はファームで防御率7.01、K/BBが2.30という成績に終わりました。防御率はさておき、K/BBが落ち着いた数値なのは希望がもてます。


2位の森は即戦力が期待された大卒右腕。ファームでは防御率2.20、K/BBが3.70とまずまずの成績を残すと、9月に1軍昇格して10試合に登板しました。又吉が抜けることになるリリーフ陣を支える存在として期待がかかります。

2020年ドラフト<千葉ロッテマリーンズ編>

この年のマリーンズの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2021シーズン終了までの通算成績になります。)

 

外れ 早川隆久
1位 鈴木昭汰 79.1回(2球団競合)
2位 中森俊介  0回
3位 小川龍成  0安打
4位 河村説人 41.2回
5位 西川僚祐  0安打
育1 谷川唯人  0安打
育2 小沼健太  0回
育3 山本大斗  0安打
育4 佐藤奨真  0回

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで121Pになります。1位で早川を外すと、外れ1位でも大卒左腕の鈴木を指名。左投手がどうしてもほしいというチーム事情が見えました。


1位の鈴木は開幕ローテ入りするのですが、その後はチーム事情で先発とリリーフの両方をこなし、23登板12先発で防御率4.08、1勝4敗という成績で1年目を終えました。小島とは異なり奪三振能力の高いタイプの左腕ですのでリリーフで使いたくなる気持ちはよくわかりますが、先発としても可能性は十分感じますので、良い意味で起用法に悩みそうです。


2位の中森は1年目は体つくりに専念ということで、ファームでも登板がありませんでした。(フェニックスリーグで初実戦を経験。)


4位の河村は192cmの長身右腕。開幕時にはリリーフだったのですが、ファームでの先発調整後、7月以降は先発として4連勝。最終的には20登板5先発で防御率3.46、4勝1敗という成績で1年目を終えました。190cmの二木と佐々木朗希に加えて河村も先発として一本立ちすれば、迫力あるローテが形成されることになります。

2020年ドラフト<阪神タイガース編>

この年のタイガースの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2021シーズン終了までの通算成績になります。)

 

1位 佐藤輝明 101安打(4球団競合)
2位 伊藤将司 140.1回
3位 佐藤蓮    0回
4位 榮枝裕貴   0安打
5位 村上頌樹   5.1回
6位 中野拓夢 127安打
7位 髙寺望夢   0安打
8位 石井大智  17.1回
育1 岩田将貴   0回

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで391Pになります。1位で4球団競合のスラッガー佐藤輝明を獲得。さらに2位と6位で大卒社会人の即戦力を獲得する大成功のドラフトとなりました。2019年のドラフトが高卒選手中心の指名だったのですが、これは翌20年に即戦力を獲得して帳尻を合わせる計画の元になされたのかもしれません。


1位の佐藤輝明は規格外のパワーが自慢のスラッガー。一軍の試合に出てくるのには時間がかかるのではないかという予想に反して開幕から6番右翼で抜擢されると、4月からはホームランを量産。横浜スタジアムでの場外弾やライオンズ戦での1試合3本塁打など、タイガース快進撃の原動力となる活躍でした。ところが、7月からは急激に失速、59打席連続無安打という不名誉な記録も達成してしまいます。終わってみると、24本塁打で打率.238のops.749。普通なら新人王級の成績ですが、後半戦の失速の悪印象が大きいですね。三振の多さ・コンタクト力の低さの改善は難しいので、松井秀喜や柳田というよりは、和製ブライアントが完成形なのかもしれません。


2位の伊藤は大卒社会人の即戦力左腕。開幕からあっさりとローテ入りすると、既に数年前からチームにいたかのような落ち着きで、ローテを一年間守り、防御率2.44で10勝7敗とこちらも普通の年なら新人王を獲得しても不思議ではない活躍でした。直球の球速や回転数、変化球の質にそれほどのレベルは感じませんが、球の出所の見えにくフォームと、ストライクを取るのに困らない程度の制球力、ピンチで動じない精神力が持ち味の投手ですね。


6位の中野は4月にスタメンに抜擢されるとそのままショートのレギュラーに定着、通算で30盗塁(2盗塁死)で盗塁王のタイトルを獲得するなど、こちらも普通の年なら新人王を獲得しても不思議ではない活躍でした。失策は17を記録しましたが、守備範囲が広いところが売りで、二塁手次第でもっと併殺がたくさん取るのではないかというシーンを多く見ました。(個人的には、ショート小幡でセカンド中野、あるいは、ショート中野でセカンド木浪を希望したい。)


上記3人のように即戦力とはいきませんでしたが、他にも期待の若手が2名。4位の榮田はファームで堅実な捕手守備と、まずまずの打撃をアピールしました。一軍では梅野と坂本の併用が基本なのでしばらくはファームで腕を磨くシーズンになると思いますが、チーム内の捕手で3番手だと思います。また、5位の村上はファームで投手三冠のタイトルを獲得しました。一軍でも2回先発するチャンスを与えられましたが、緊張でアピールならず。球威ははっきりと不足しており変化球にも特筆すべき点はなく、制球力で勝負するタイプですが、二軍の帝王に終わらずに一軍でも活躍してほしいですね。

2020年ドラフト<埼玉西武ライオンズ編>

この年のライオンズの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2021シーズン終了までの通算成績になります。)

 

外れ 早川隆久
1位 渡部健人  1安打
2位 佐々木健  8.2回
3位 山村崇嘉  0安打
4位 若林楽人 40安打
5位 大曲錬   4回
6位 ブランドン20安打
7位 仲三河優太 0安打
育1 赤上優人  0回
育2 長谷川信哉 0安打
育3 ジョセフ  0安打
育4 豆田泰志  0回
育5 水上由伸 27回

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで100.2Pになります。1位は左腕エースを求めて早川を指名するのですがこれは外れ。すると一転して、いかにもライオンズの好きそうな長距離砲の渡部を指名します。出ているポイント数は(同じ年の他球団に比べると)少ないですが、一芸のある個性的な選手が集まった感じがあります。


まず1位は将来の四番候補の渡部、一軍でも1安打をホームランで記録し派手なデビューを飾り、ファームでは本塁打王打点王の2冠を獲ります。ファームでのスタッツの方はというと、opsは.771ながら打率.228でBB/Kは.260と、まだまだ確実性は低い。チームは中村剛也や山川を育てた経験から、このタイプの育成には自信があると思いますので、来季に期待です。


2位の佐々木は大卒社会人左腕の即戦力候補。だったのですが、先発して先頭打者に頭部死球を与えて危険球退場(NPB史上初)、Covid-19感染防止ルール違反で謹慎処分と、波乱の多いルーキーイヤーになりました。同じく、ドラ2・大卒社会人・左腕ということで、何かとタイガースの伊藤将司と比べられてしまいますね。


4位の若林は開幕を一軍で迎えると4月からは1番で起用され、二カ月でops.729で20盗塁とレギュラーに定着したかに思えました。しかし、5月末の試合で左膝前十字靭帯損傷の大怪我を負ってしまいました。怪我さえなければ新人王候補だったので、もったいないですね。


6位のブランドンは既に一軍で3本塁打を記録、ファーム成績はops.841でBB/K.611と、1位の渡部よりも早くNPBに適応しています。同じ年のドラフトで主軸候補の打者を2人も獲れたのはおいしい。


育成からは育5の水上が5月に早くも支配下契約をゲット。中継ぎとして0勝1敗4ホールドで防御率2.33を記録しています。

2020年ドラフト<横浜Denaベイスターズ編>

この年のベイスターズの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2021シーズン終了までの通算成績になります。)

 

1位 入江大生  18.1回
2位 牧秀悟 153安打
3位 松本隆之介 0回
4位 小深田大地 0安打
5位 池谷蒼大  6.2回
6位 高田琢登  0回
育1 石川達也  0回
育2 加藤大   0回

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで178Pになります。1位は競合を避けたのか、入江の一本釣りという手に出ました。結果的にはこれは失敗だったと思いますが、2位で牧の獲得に成功して巻き返しに成功します。


まず1位は右腕エース候補の入江を単独指名。ベイスターズといえば1位で左腕投手を集めるイメージでしたが、右腕エースがほしいというチーム事情が見えました。開幕ローテ入りするのですが、4先発して4敗と厳しい出だしとなったところで、二軍落ち。以降は右肘のクリーニング手術を受けています。


2位の牧はこの順位、このウェーバー順でよく残っていたなという逸材。ソトの来日が遅れたことで、開幕戦から3番一塁で出場。既に何年もプロで試合に出ているかのような打撃を見せます。ソトの合流後も二塁手として出場を続け、ops.890、22本塁打という新人王級の成績で初年度を終えました。体格からの想像通り、二塁手としては守備範囲が狭いのですが、併殺を取る動きには堅実さがあり、このポジションで起用することがチームにとって大きな強みになっています。