ドラフトの通信簿

NPBドラフトにおける、各球団の指名結果を採点します。

2020年ドラフト<阪神タイガース編>

この年のタイガースの指名は以下の通りでした。
(選手名の横の数値は、2021シーズン終了までの通算成績になります。)

 

1位 佐藤輝明 101安打(4球団競合)
2位 伊藤将司 140.1回
3位 佐藤蓮    0回
4位 榮枝裕貴   0安打
5位 村上頌樹   5.1回
6位 中野拓夢 127安打
7位 髙寺望夢   0安打
8位 石井大智  17.1回
育1 岩田将貴   0回

 

1P=1安打=1回とすると、この年のドラフトはトータルで391Pになります。1位で4球団競合のスラッガー佐藤輝明を獲得。さらに2位と6位で大卒社会人の即戦力を獲得する大成功のドラフトとなりました。2019年のドラフトが高卒選手中心の指名だったのですが、これは翌20年に即戦力を獲得して帳尻を合わせる計画の元になされたのかもしれません。


1位の佐藤輝明は規格外のパワーが自慢のスラッガー。一軍の試合に出てくるのには時間がかかるのではないかという予想に反して開幕から6番右翼で抜擢されると、4月からはホームランを量産。横浜スタジアムでの場外弾やライオンズ戦での1試合3本塁打など、タイガース快進撃の原動力となる活躍でした。ところが、7月からは急激に失速、59打席連続無安打という不名誉な記録も達成してしまいます。終わってみると、24本塁打で打率.238のops.749。普通なら新人王級の成績ですが、後半戦の失速の悪印象が大きいですね。三振の多さ・コンタクト力の低さの改善は難しいので、松井秀喜や柳田というよりは、和製ブライアントが完成形なのかもしれません。


2位の伊藤は大卒社会人の即戦力左腕。開幕からあっさりとローテ入りすると、既に数年前からチームにいたかのような落ち着きで、ローテを一年間守り、防御率2.44で10勝7敗とこちらも普通の年なら新人王を獲得しても不思議ではない活躍でした。直球の球速や回転数、変化球の質にそれほどのレベルは感じませんが、球の出所の見えにくフォームと、ストライクを取るのに困らない程度の制球力、ピンチで動じない精神力が持ち味の投手ですね。


6位の中野は4月にスタメンに抜擢されるとそのままショートのレギュラーに定着、通算で30盗塁(2盗塁死)で盗塁王のタイトルを獲得するなど、こちらも普通の年なら新人王を獲得しても不思議ではない活躍でした。失策は17を記録しましたが、守備範囲が広いところが売りで、二塁手次第でもっと併殺がたくさん取るのではないかというシーンを多く見ました。(個人的には、ショート小幡でセカンド中野、あるいは、ショート中野でセカンド木浪を希望したい。)


上記3人のように即戦力とはいきませんでしたが、他にも期待の若手が2名。4位の榮田はファームで堅実な捕手守備と、まずまずの打撃をアピールしました。一軍では梅野と坂本の併用が基本なのでしばらくはファームで腕を磨くシーズンになると思いますが、チーム内の捕手で3番手だと思います。また、5位の村上はファームで投手三冠のタイトルを獲得しました。一軍でも2回先発するチャンスを与えられましたが、緊張でアピールならず。球威ははっきりと不足しており変化球にも特筆すべき点はなく、制球力で勝負するタイプですが、二軍の帝王に終わらずに一軍でも活躍してほしいですね。